評価
★★★★☆
プロローグ
本人やセルジオ・レオーネ、ベルナルド・ベルトルッチ、クエンティン・タランティーノ、ブルース・スプリングスティーン、クインシー・ジョーンズ、パット・メセニーといった映画界や音楽界の著名人が作品を回想したり、自分の思いなどを語りながら進んでいくドキュメンタリー。
エンニオ・モリコーネと聞いてなんとなく聞き覚えがあるなぁ、きっと面白いだろう、という軽い気持ちで見始めましたが、自分の知識の無さが恥ずかしくなるくらいの巨匠で、見れば見るほどに音楽を含めてもう一度作品を見直したいという衝動に駆られました。
モリコーネさんが携わった映画(一部)
- 荒野の用心棒 Per un pugno di dollari(1964)
- 夕陽のガンマン Per qualche dollaro in piu(1965)
- ウエスタン Once Upon a Time in The West(1968)
- 死刑台のメロディ Sacco and Vanzetti(1971)
- ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ Once Upon a Time in America(1984)
- ミッション The Mission(1986)
- アンタッチャブル The Untouchables(1987)
- ニュー・シネマ・パラダイス Nuovo cinema Paradiso (1988)
- 海の上のピアニスト La Leggenda del pianista sull’oceano(1998)
- シチリア!シチリア! Baaria(2009)
- 鑑定士と顔のない依頼人 La migliore offerta(2013)
- ヘイトフル・エイト The Hateful Eight (2015)
感想(ネタバレあり)
エンニオ・モリコーネさんは、400を超える映画を担当されており、時には年に20個以上の映画音楽を担当することもあったため、本当に本人がそれらを手掛けたのか疑われることもあったそうです。
アカデミー賞には縁がなく、名誉賞での受賞経験があるものの、6回目の「ヘイトフル・エイト」(2015)でようやくアカデミー賞を受賞したとのこと。周囲からは受賞できないことに不満の声も上がったようですが、過去の候補作での音楽の効果を考えると当然かもしれないと感じました。
ただ、アカデミー賞のくだりでは、モリコーネさんのライバルとしてラストエンペラー(ベルナルド・ベルトルッチ監督、音楽担当坂本龍一さん)が受賞した場面も描かれており、日本人の私としては、複雑な思いに駆られました。
また、セルジオ・レオーネ監督が学生時代の同級生だったというエピソードには、人と人とのつながりの不思議さや必然性を感じずにはいられませんでした。そういった縁やシナジーが、作品やその後の成功に影響を与えていくのでしょうね。
もし、「時計じかけのオレンジ」の音楽をモリコーネさんが担当していたらどんな印象になったのだろう、観て(聴いて)みたかったなという思いにも駆られました。
作中に”20世紀は、映画音楽が現代音楽”という言葉がありましたが、なるほど、と思う反面、そこに至らせた1人であるモリコーネさんをこの映画を通して知ることができてとてもよかったと思いました。
エンニオ・モリコーネさんが関わってきた作品の実績にがすごすぎてどんどん作品の中に引き込まれていき、とても良質なドキュメンタリー映画だと感じました。
映画音楽の他に、ポップソングも作っているようなので機会があったらそちらも聞いてみたいと思います。